「放課後の学校クラブ」とは、
放課後の学校をつくるために学校内に設立されるクラブのことである。
「放課後の学校」とは、いつもの学校が終わったあとに現れるもうひとつの学校のことである。

2011年10月16日日曜日

10月2日(日)一時間の学校










十月二日(日)、放課後の学校クラブ活動発表会として「一時間の学校」がおこなわれました。

 部員のみんなも今日はすこし早めに来ていました。体育館に見立てた大きな布の屋根をつくる地域の方々、先生、この日のためにつくった黒板を設置する部員、担当の授業の最終リハーサルをする部員。それぞれが11時の開校に向けて必死です。

 あっという間にスタートの時間。発表会を見に来たお客さんで用意していた体育館の椅子はいっぱいになりました。校長先生となった生徒のスピーチでいよいよ「一時間の学校」の始まりです。

「一時間の学校」は、校内につくったいくつかの教室をツアーのようにまわりながら、それぞれの部員がお客さんにたいして先生になって授業をするという内容です。この形もこれまでの活動の中で考え、決定しました。

 それぞれの授業の持ち時間はなんと10分間。一時間目の授業は「情報」。2人の先生が、世代豊かな生徒(お客さん)たちに対して緊張しながら授業説明を行います。インスタントカメラのチェキで撮った自分の写真を工作用紙のカードに貼付けて、自分の好きなものをマジックで書くことで即興の名札をつくります。

 説明をする人と、写真をとってまわる人に別れて授業を進める先生2人。ちょっと間が空いても大して気にしないところが素晴らしい度胸です。できた名札を見せてもらうと、どれも「その人らしさ」が表れていました。生徒の方々も和やかな雰囲気で、オープニングにふさわしい授業でした。

 二時間目は「数学」。中庭につくられた教室、正面の黒板には「お菓子ポーカー」と書かれています。一人の先生と生徒全員がポーカーで対決して、勝った人は賭けたお菓子の数が倍になるというものでした。手作りのトランプを配る先生、お菓子が入ったカゴを抱えた先生。なんとも不思議な授業風景です。今日はじめたあった生徒同士が持ち札を見せ合ったり、賭けるお菓子の数を相談したり、円弧上の机配置もあって二時間目にして全体の一体感が生まれます。数回のポーカーのあと、結局先生の引きがよわかったのか、ほとんどの生徒がお菓子を倍くらいにして喜んでいます。「これがまぁ数学の確率の世界ですわ。」という締めくくりの一言でひと笑い。学校の常識をはみでる新しいアイテムと切り口をつかった授業となりました。

つづいて、昇降口に教室を設えた「音楽」の授業です。整然とおかれたたくさんの席がうまっている様子は、4人チームの先生たちも緊張を隠せません。それでも、前日のリハーサルからは信じられないくらい完璧な段取りで授業をすすめていきます。楽曲をきき、それをいきなりみんなで歌う。少し難易度が高いように思っていたのですが、なかには前から歌える生徒さんたちもいて、気づけば昇降口に大合唱が響き渡っていました。みんながみんなに拍手します。さらに今度はイントロクイズがはじまって、進行役の女子と機材係の男子に分担した先生たちのチームワークが光ります。生徒の年齢層を予測して、懐かしい曲と、最新の曲を用意していたのが狙い通りで、幅広い世代の生徒さんたちが正解を狙っていました。盛り上がりとともに最後の授業に向かいます。

 「美術」の時間は、これまで活動につかってきた放課後の学校クラブ部室(地域交流室)でおこなわれました。今日だけは特別仕様でパーテーションが部屋を区切り、イーゼルが数脚置かれ、美術室のような雰囲気です。授業の内容は先生たちの得意分野である「キャラクター」に関するものでした。キーワードが書かれているカードを引いて、そのキーワードから着想したオリジナルキャラクターを考えて描く。思いつかなかったら好きなキャラクターを描いても構わない。ゆるさが特徴のこの美術の時間。キャラクターづくりに卓越した先生たちがアドバイスをしてまわります。書き終えると、先生に指名された生徒が一人ずつ発表して先生たちの講評を受けていきます。一人ずつはっきりとした意見を頂いたところでチャイムがなりました。

 始まりのときよりなんだか、この場にいる人達の関係もつながって朝会をおこなった体育館に戻ります。「一時間の学校」の和やかな時間の余韻とともに校長先生のスピーチを聞いたあと、サプライズで授業を行った先生たち(部員のみんな)に表彰状が手渡されました。集まった人びとの解散とともに、これまで積み重ねた活動の集大成である「一時間の学校」は閉校しました。(北澤)